連合会の活動

広告審査会について

~ 第183回 広告審査会 ~

日時 平成17年 2月28日(月)14:00~17:00
場所 日本大衆薬工業協会会議室
審査委員

(第三者委員)亀井昭宏、佐谷圭一、渡辺 稔、瀧澤晶子
(広告委員会委員)船橋 誠、太田 昭(代)、木下俊也、吉田章二、室 直秀、長橋幹雄、田口隆久、佐藤武文(代)、西井良樹

幹事 高野 修(大正)、近藤 寛(救心)、前廣敬介(三共)、片岡英夫(全薬)
審査対象 テレビ広告    62件
新聞・雑誌広告  52件  合計114件
広告収集期間 平成16年11月23日~平成17年1月19日

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審査概評 
広告審査会委員  亀井 昭宏

第183回広告審査会では、つぎのとおりでした。
審査件数・・・ 新聞・雑誌広告
テレビ広告
52件
62件
計 114件
審査結果・・・ テレビ広告

注意・・・ 4件

話題・・・ 6件
  新聞・雑誌広告

注意・・・ 4件
  話題・・・ 1件
◇     ◇     ◇      ◇     ◇
 先回「注意」の所見となった製剤の会社から回答があり、今回の席上で報告された。
 当該製剤の用法・用量は、「成人(15歳以上)は、1回1錠、1日3回を限度とし服用する。服用間隔は4時間以上おくこと。ただし、かぜによる悪寒・発熱時には、なるべく空腹時をさけて服用すること。」となっている(回答書より)。
 類薬のものと比べると「ただし、かぜによる悪寒・発熱時には、」が追加されており、頭痛ほか15種の疼痛(ここでは省略)の場合には空腹時を避ける必要がないこととなっている。これに基づく差別化として、CM中で「頭痛薬のむ前に、食べなくてもイイって言われたら、どう思う。・・いつでも・・空腹時でものめる頭痛薬。OOO。」「1回1錠、1日3回」とのナレーション・字幕が流される(・・は無言の間隔)。

 審査所見は「‘いつでも’というのは承認をうけた用法用量をいささか誤解させる表現ではないか。基準3(5)、4」であった。
 審査所見に対して、「注意」には当たらないとの回答を得た。必ずしも空腹時を避ける必要がないことを意味している、との回答であった。
 この回答に付いて考えるに先ず、「いつでも」がなくても類薬との違いは正確に伝わる。類薬では頭痛、発熱のいずれでも空腹時の服用を「なるべく」避けるとなっており、わざわざ食べてから飲む人がどれだけいるのか疑わしく思うが、アセトアミノフェンが末梢でプロスタグランジン系に作用するよりむしろ視床下部における作用が強いと言われることからも頷け、長所と言える。

 ところが、CMに用量は表示されるが、服用間隔の制限は表示されていない。能書を読まず、CMの情報のみで使用すれば、服用して1時間経ったがまだ治まらない、もう1錠飲もう、という飲み方が起きうる。用量・用法のうち都合の悪い縛りを隠して「いつでも」と言えるように工作してまで誤認誘導を狙った、典型的を超えて悪質な違反事例ではないか。単なる表示漏れであることを願っている。念を押しておくが、服用後に4時間服用できない期間がある以上、「いつでも」とは言えない。これが分らなければ国語を勉強し直す必要がある。「4時間以内に追加服用するなんてことはないのに」と思っているのだろうが、それは甘い。「4時間前以降に服用していなければいつでも」とは言えようが、用法・用量を勝手に言いかえることは誤解の原因になり得るので許されない。本製剤のホームページを見たところ、かなり探したが服用間隔の表示は見つからなかった。このCMも動画で見れるようになっている。

 尚、釈迦に説法かもしれないが、かようなCMが現実に放送されたことを踏まえて確認しておきたい事がある。薬物が薬物であるためには用法・用量(他に適応、禁忌など)が守られなければならない。そうでなければ無用の長物か毒なのである。例えばヒオスチアミンは毒草に含まれる毒素である。それは一定の使用条件下でのみ(アトロピンとして)医薬なのである。アトロピンに用法用量が付いて、かつ守られて初めて医薬になるのである。用法・用量は薬事食品衛生審議会で臨床試験に基づいて慎重に決められる。一つの適応に対する用法・用量はセットとして扱われるべきで原則一部でも省略は許されないし、余計な字句を追加することも禁忌である。

 僅か15-30秒という短い時間の中で、CM対象品の特長を正しく伝えるために示すべき内容を選択することは至難の業であることは良く分っているつもりである。多面的多視点的に熟慮推敲をお願いしたい。

 それにしても、上記の用法に「かぜによる悪寒・発熱」とあるが、かぜとの診断は誰がするのだろうか。この問題に関連して本レポート2001年185号に、解熱剤で熱を下げた状態の人(部下)を直ちに、街を飛び歩く仕事(刑事)に就かせるというCMシナリオについて、解熱薬は対症療法であるので本来安静を保つべきであり、セルフメディケーションの立場から問題であることを私が指摘した。今回も、咳をしながら出勤しようとしている夫の額に手を当てて発熱を認めた妻が、夫に解熱剤を与えてそのまま送り出すシーンがあった。発熱を初期症状とする重症疾患は決して少なくないが、小児・高齢者に多く、このCMに登場の夫が中年であることから斟酌すると、例えば「無理をしないように」とか「できるだけ安静に」「発熱が続くときは医療機関へ」などの警告字幕を流すなどして言わば良心を示しては如何かと提案する。

 最近、CM大賞を受賞したカリスマ的人物の紹介がテレビで流された。これまでにも約20回もCM関係の賞を受けていると言う。奇抜な自由闊達な着想の連発でヒットCMを続けたとのことであるが、このようなコピーライターに医薬品のCMを依頼したらどんなことになるか、想像するだけでも恐ろしくなる。一方、健康食品のCMにはショップチャネルなどを使って30分にも及ぶ詳細な説明をしている。「効果が期待できる」などの用語は医薬品と同じなのである。我々が見ているならその程度が違うということが分っているが、ともすれば医薬品よりも効果がありそうに思えてくる。定量的説明が必要なのである。医薬品の場合、国が承認していると言うことは一定の保証をしていることを意味しており、その部分を一般人に説明しなくてよいと言うことだろうか。承認申請書が公開されたことでもあり(100%ではないが)、申請書の範囲内で作用・効果などの長所・短所を(必要であれば定量的に)説明できるなどの規制緩和を求めては如何であろうか。

(以 上)

審査結果 
テレビ広告
●鎮痒剤
指摘箇所:

〈音 声〉
お肌修復成分配合

見  解:

〈注 意〉
肌あれといった効能をお持ちでないようですから「肌修復」という表現は些か効能を逸脱しているのではないでしょうか?ご注意下さい。

〔基準3(1)〕
●鎮痛剤
指摘箇所: 〈音声、文字〉
おしゃれな痛み止め
見  解: 〈注 意〉
容器がおしゃれであることを表現するのは問題ありませんが、鎮痛剤がおしゃれというのは些か乱用を助長する表現ではないでしょうか?ご注意ください。
〔基準9、3(8)〕
●鎮痛剤
指摘箇所: 〈画面・文字〉
※ただし、かぜによる悪寒・発熱時にはなるべく空腹時をさけて服用してください。
見  解: 〈注 意〉
「いつでものめる」という広告表現を全面的に否定するものではありませんが添付文書にある①ただし、かぜによる悪寒・発熱には、空腹時をさけて服用してください。②1日3回を限度に、4時間の間隔をおいて・・という2つの条件を画面上に挿入いただいておりますものの、通常のテレビ視聴状態で生活者が視認・判断するのは非常に難しいのでは?と審査会委員一同の判断に至りました。こういった情報も是非的確に生活者に伝達されるよう次回のCM制作にあたってはご注意願います。
見  解: 〈注 意〉
また、これらは服用感を向上させるためであり、強調して表現されますと食品的であり乱用を助長する恐れもあります。ご注意ください。
〔基準4、14〕
●水虫薬
指摘箇所: 〈文 字〉
使用上の注意がないこと
見  解: 〈注 意〉
水虫薬を広告する際は使用上の注意を記載することになっています。ご注意ください。
〔基準8〕
新聞・雑誌広告
●目薬
指摘箇所: 〈文 字〉
強く、持続力のある・・
強い抗アレルギー効果も実証
花粉症対策のスペシャル版
  〈注 意〉
「強い・強力」は最大級表現です。
「実証」は保証的表現です。
クロモグリク酸配合でない限り「花粉症」とは表現できません。ご注意下さい。
〔基準3(1)、(6)、(7)〕
●整腸薬
指摘箇所: 〈文 字〉
不足しがちな栄養素を補うのに最適です。
  〈注 意〉
最大級表現です。ご注意ください。
〔基準3(1)、(6)、(7)〕
●整腸薬
指摘箇所: 〈文 字〉
現代人のおなかを守る
  〈注 意〉
用法用量から判断して「現代人の」というのは些か誤解を招く表現ではないでしょうか?
〔基準3(1)〕
●その他
指摘箇所: 〈文 字〉
痛みを起こしやすい体質を改善
  〈注 意〉
効能は神経痛・リウマチ・関節痛などであり、体質を改善するとまでは表現できません。ご注意下さい。
〔基準3(1)〕
指摘箇所: 〈文 字〉
あきらめていた痛みのもとに効果を・・
  〈注 意〉
「あきらめていた」は些か保証的ではないでしょうか?ご注意下さい。
〔基準3(6)〕

[話 題]第183回広告審査会では、以上のほか次の品目が話題になりましたので、ご参考までにご紹介しておきます。

テレビ広告
●鎮痒剤
指摘箇所: <画 面>
見  解: <話 題>
グラフ・テロップ類のサイズが小さくて見えづらく、正確で充分な情報提示とは言えないのでは?と話題になりました。
 
●鎮咳剤
指摘箇所: <文 字>
総合感冒薬なの?
見  解: <話 題>
昨年の指摘に対する改訂の結果とは存じますが、かえって説明不足となり総合感冒薬を誹謗するかのようにも受け取れます。咳にはせき止め薬を・・とするなどの工夫が必要では?と話題になりました。
〔基準9〕
●総合感冒薬
指摘箇所: <画 面>
患部へ成分が攻撃して色が変わるシーン
見  解: <話 題>
広告全体としてはさほど保証的とはいえませんし、色の変化は極端にならぬように・・と話題になりました。
〔基準3(6)〕〔広告自主申し合わせ〕
●鼻炎内服剤
指摘箇所: <音 声>
今年の花粉は早い。花粉が多い。
見  解: <話 題>
当該製品の効能はアレルギー性鼻炎・急性鼻炎等であり、クロモグリク酸配合ではありませんので、アレルゲンとして表現する場合は「ハウスダスト・花粉などによる~」のように2つ以上提示して頂くようお願いします。
〔基準3(1)〕〔広告自主申し合わせ〕
●総合感冒薬
指摘箇所: <画面・音声>
帰ってからも仕事?かぜつらそうね。
見  解: <話 題>
発熱を薬で抑えて仕事するというのは実態として理解はできますが、熱が出たときは安静にすべきであり無理をすることを広告するのはいかがなものか?と話題になりました。
駐車の方法が配慮に欠けるのでは?と話題になりました。
●下痢止め薬
指摘箇所: <画面・音声>
ん?おなかの調子が悪くなってきた。試験が始まっちゃう、どうしよう・・。
見  解: <話 題>
効能は痛みを伴う下痢・食あたりなどであって、神経性の下痢・過敏性腸症候群などの効能はありません。シチュエーションとしては理解できますが、行き過ぎとならなければ・・と話題になりました。
〔基準3(1)〕
指摘箇所: <画 面>
電車の中で他人が医薬品を渡すシーン
見  解: <話 題>
医薬品の授受を表現する場合は薬事法に準拠してお願いします。
●下痢止め薬
指摘箇所: <音 声>
天然のチカラだ
見  解: <話題・調査>
天然というのは成分・製造方法について表現していると思われますが、何を根拠に天然とされているのかご回答ください。


OTC医薬品TV CM VTR収録リスト
対象期間:2004年11月23日~2005年1月19日

広告主
商品名
秒数
塩野義製薬 ポポンCホワイト 15
塩野義製薬 ポポンCホワイト 15
佐藤製薬 ユンケル黄帝液 30
武田薬品 アリナミンEX 15
武田薬品 新アリナミンA 15
武田薬品 新アリナミンA 15
エスエス製薬 新エスタック滋養液(DX・こども用・のど飴) 15
大正製薬 リポビタンD 30
エスエス製薬 エスタック ニスキャップ12 15
カネボウ薬品 葛根湯 顆粒 15
ファイザー アネトンせき止めZ液(錠剤) 15
ファイザー アネトンi総合感冒錠 15
常盤薬品 南天のど飴(常盤のど飴) 15
浅田飴 田飴{クールS・ニッキS・パッションS} 15
全薬工業 ジキニン鼻炎AG顆粒 60
全薬工業 ジキニン鼻炎AG顆粒 30
大正製薬 パブロンSゴールド{微粒} 30
大正製薬 パブロンエース 顆粒(錠剤) 30
大正製薬 ヴイックスメディケイテッドドロップ 15
大正製薬 ヴィックスヴェポラップ 15
大正製薬 パブロン鼻炎カプセルS 15
武田薬品 ベンザ鼻炎薬α(ベンザ鼻炎スプレー) 15
池田模範堂 こどもムヒソフト 30
ライオン ストッパ下痢止め 60
ライオン ストッパ下痢止め(小中学生用) 15
ライオン ストッパ胃腸薬 60
ライオン 小中学生用ストッパ下痢止め 60
わかもと製薬 強力わかもと 30
興和新薬 キャベジンコーワS 15
大幸薬品 正露丸(少量サイズ) 15
大幸薬品 セイロガン糖衣A 30
大鵬薬品工業 ソルマック胃腸液 15
第一製薬 新センロック散剤 15
武田薬品 ビオフェルミン健胃消化薬錠 15
アラクス ピルケース入りノーシンピュア16錠 30
ジョンソン&ジョンソン タイレノールA 30
ライオン バファリンA 30
大正製薬 ナロンエース 30
内外薬品商会 ケロリン 15
内外薬品商会 ケロリン 15
武田薬品 マイティアCL{クール・クールHi} 15
ロート製薬 リシーナ 坐剤A(軟膏A・注入軟膏A) 15
大正製薬 コーラックII 30
武田薬品 ボラギノールA{坐剤・注入軟膏} 15
久光製薬 久光製薬{サロンパスA・-・フェイタス・プテナロック} 60
興和新薬 ケラチナミン{20%尿素配合クリーム・アクアプラス} 15
興和新薬 バンテリンコーワ1.0%クリーミィーゲル 15
小林製薬 アンメルシン1% ヨコヨコ 15
救心製薬 救心内服液 15
エスエス製薬 ドリエル 60
大鵬薬品工業 ハルンケア内服液 10本入り 15
武田薬品 ニコレット(ミント) 30
養命酒製造 養命酒 30
養命酒製造 養命酒 30
養命酒製造 養命酒 30
養命酒製造 養命酒 30
養命酒製造 養命酒 30
藤沢薬品 2005年4月1日山之内製薬と合併しアステラス製薬 15
藤沢薬品 2005年4月1日合併 15
山之内製薬 4/1~アステラス製薬に 30
湧永製薬 50年 日本専門薬局同志会を応援 30

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