日本一般用医薬品連合会 - 一般用医薬品業界の連携を強化し、様々な課題について取り組みを進めます。

今回の審査対象の広告の中にも一部その傾向が現れていたように思われたことですが、医薬部外品を含めて、最近医薬品広告の表現手法に化粧品広告に見られるようなイメージ訴求的手法や、清涼飲料あるいは玩具広告に見られるような表現手法が徐々に浸透してきているように感じられました。商品である医薬品の効能や用法を正しく伝えようとするよりも、効能効果の暗示的訴求や、明るさや楽しさの誇張的表現によってブランド名を印象付けようとするだけの広告が、徐々に目立ってきているように思われてならないのです。

　今回の審査会の席上でも委員の間で話題になった愛称（ペットネーム）の利用なども、そうした傾向を示唆する一端だと考えられます。医薬品を、本来の承認名をさて置いて愛称で呼ぶといった訴求・表現方法は基本的に避けられるべきであるというのが、筆者の個人的な基本見解です。それは言うまでもなく、消費者による商品の誤った認知や選択が誘発される可能性を限りなく小さくすることが、人間の生命や健康に直接かかわる商品としての医薬品広告の根本原理だと確信するものだからです。

　受け手の耳目をそばだてる様な派手な表現でなくとも、製薬会社としての誠意と消費者への思いやりにあふれた訴求内容の広告であれば、それがいかに地味な表現であろうと、あるいは質素なつくりであっても、消費者の共感と賛同を呼ぶはずです。とくにテレビＣＭの場合には１５秒あるいは３０秒といった時間的制約があるとしても、そうした実質的な、消費者にとって真に意味と価値のある広告の制作が可能なはずである、と筆者は確信しています。広告クリエイターはもちろんのこと、医薬品広告関係者の奮起と発想の転換を心底から期待しています。

広告に関する最新情報を１つご紹介しましょう。
　最近アメリカの広告界で「検索広告（ｓｅａｒｃｈ　ａｄｖｅｒｔｉｓｉｎｇ）」という新しい広告の形態が隆盛の兆しを見せています。これは広告情報、とりわけマスコミ広告の氾濫にさらされている消費者が、接触する広告のほとんどに関心を抱いていないし、記憶もしていないという実態に即して、必要なときに消費者の側で探索し抽出する広告、いわゆる「プル型広告」の典型例として注目を集めているものです。

　具体的には、ＹａｈｏｏとかＭＳＮといった検索エンジンでＨＰを検索する際に検索語を使う形の応用形で、広告関連の７０～３００語程度の検索語をあらかじめ登録しておいて、ＨＰの検索をかけた利用者の検索結果の中に広告を潜ませるというやり方のもので、既複数の有力な専門業者がサービスを提供しています。

　顧客１人当たりの広告メッセージ到達費用が極端に低く、ダイレクトメールの５００分の・は論外としても、バナー広告やｅ－ｍａｉｌなどと比べても桁違いの安さという点がミソとなっています。

　ただ、あまりに無関係な語を検索語とすることで当該広告にヒットし過ぎる利用者の反感を買わないように留意することが必要であると同時に、検索語の継時的な更新が必要であると言われています。
　おそらくそう遠くない時点で、わが国広告主によるこの検索広告の利用が一般化することが期待されます。御社でも如何でしょうか？