連合会の活動

広告審査会について

~ 第182回 広告審査会 ~

日時 平成16年12月20日(月)14:00~17:00
場所 学士会館
審査委員

(第三者委員)佐谷圭一、亀井昭宏、瀧澤晶子
(広告委員会委員)太田 昭、木下俊也、吉田章二、室 直秀、長橋幹雄、
田口隆久、佐藤武文(代)、西井良樹、倉本 力

幹事 高野 修(大正)、近藤 寛(救心)、前廣敬介(三共)、片岡英夫(全薬)
審査対象 テレビ広告    70件
新聞・雑誌広告  39件  合計109件
広告収集期間 平成16年9月24日~平成16年11月22日

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審査概評 
広告審査会委員  亀井 昭宏

第182回広告審査会では、つぎのとおりでした。
審査件数・・・ 新聞・雑誌広告
テレビ広告
70件
39件
計 109件
審査結果・・・ テレビ広告

注意・・・ 12件

話題・・・ 2件
  新聞・雑誌広告

注意・・・ 1件
  話題・・・ 1件
◇     ◇     ◇      ◇     ◇
 実務委員会の判断を事前に伺うことなしに審査を進める、という新しい進行形式による審査会の2回目に当たる今回の審査会では、薬事に関する専門知識に欠けるアマチュア審査委員の私にとっては、OTC医薬品の広告表現における専門的な側面よりも、どちらかと言うと一般常識的な表現部分が気になり、ついつい的外れな指摘や発言を重ねて審査会の進行を妨げることが多くて、大変申し訳なく思っている次第です。この点について、まず審査会の委員の皆さまに心からお詫びを申し上げたいと思います。

 対象期間が「9月下旬から11月下旬」ということもあって、今回の審査会では風邪薬の広告(テレビCMおよび新聞・雑誌広告)が多かった上に、「注意」と判定された広告も6件と多く、「注意広告」全体の実に4割を占めていたというのがとくに気になりました。それらのほとんどが「効き目の強調の仕方に問題あり」と判定されたものでした。

 風邪薬ですから、服用者も早く効くこと(治癒)を強く期待しているであろうことは十分に理解できるのですが、その伝え方に過度の強調があってはならないことは、OTC医薬品広告の基本的役割や意義にもかかわるもっとも重要な表現上のポイントであるように思われてなりません。他社誹謗的表現を別にすれば、OTC医薬品の効き目をいかに適切に表現し、消費者へ正確に伝達するかがOTC医薬品広告の表現上の鍵であることは明らかだからです。この点は、今回の審査会では風邪薬に次いで「注意広告」の多かった(3件!)胃腸薬にとっても他人事ではないという認識が関係者の方々にとって重要ではないでしょうか。

 「今や情報の主権者は消費者である。」という認識が人々の間に広く浸透していることは、既にご存知だと思います。近年のWebによるコミュニケーション構造の急激な変化が、消費者の日常的なコミュニケーションのあり方を大きく変えてきていることは、これまで一方的なメッセージの受け手でしかなかった消費者が、容易に送り手としても機能しえる実態などからも実感しておられることと思います。

 こうしたコミュニケーション実態の激変と歩を合わせるかのように、広告コミュニケーションの本質や実態にも今や大きな変化が生じつつあることを、広告ご担当の皆さまはどこまで実感しておられるでしょうか? 以下、それらの中心的な現象のいくつかについてお話させて頂きたいと思います。

 つい最近まで、消費者の購買行動に関連する情報処理の実態について「情報過多時代の情報不足」ということが言われてきていたことは、ご存知だと思います。それは、溢れかえるほどの多種多様大量な情報が存在している状況の下で、消費者が実際に商品を購買しようとする時など、必ずしも容易に必要十分適切な情報を入手できるとは限らないという実態を示す表現でした。しかし、インターネットを中心とするWebコミュニケーションの時代が出現して、今や状況は一変してしまったのです。消費者は少しの努力とエネルギーの投入さえ厭わなければ、処理に困るほどの量の関連商品情報を容易に、しかも効率的かつ安価に入手できる時代が到来したのです。もちろんそれに際しては、その(Web情報処理)ために必要ないくばくかのリテラシーを消費者が保持していることが前提になっていることは、言うまでもありません。

 コミュニケーションの展開が前提となっているマーケティングにおいてはもちろんのこと、広告においても、今やその主権者(リーダー)は消費者であるという認識が必要であり、現実になっていると見ることができるのです。少し極端な言い方ですが、今や消費者は商品広告に頼らなくても他の情報チャンネルを通じて、処理に困るほどの大量の、かつ高質な商品情報を容易に入手できる時代に突入しつつあるのです。かって企業と消費者の間にあったような情報格差は、もはや解消されつつあるばかりでなく、パワーを持ってきた消費者が、そうした格差の保有を企業に許さなくなってきている事態も認識する必要性があるでしょう。

 OTC医薬品の領域は、企業(製薬会社)と消費者の間に未だかなり大きな情報格差が存在している数少ない業種の1つでしょう。そうした情報格差の存在が他の商品カテゴリーの場合と同様に今後は解消されていくのか、それとも企業側でのその保持が「消費者によって許され続ける」のか、冷静に見極める必要性があるように思われてなりません。

 今や「広告の主権者は消費者である。」と言わなければならない状況が現出しつつある中で、消費者によって十分に評価され、積極的に受け入れられていく広告であるためには、それはどうあらねばならないのでしょうか? その答えはマーケティングの、そして企業経営の原点に立ち帰る必要性として、関係者の間で近年認識され出しているように思われるのです。

 「消費者は王様である。」とか「消費者ニーズ(欲求)の充足と満足の確保を出発点としたマーケティング展開」といわれてきた理念が、これまでのマーケティングや広告の企画展開によって現実には十分に達成されて来ていなかったことに対する反省と対処の動きが、この数年来産業界において次第に浮上してきていることを指摘できるのです。しかし、話が少し大きすぎるので、以下では広告に対象を絞ってお話を進めることにしましょう。

 消費者を最前提にした広告の近年の動向としては、広告業界におけるAP(アカウント・プランニング)制の導入が注目されます。これは、70~80年代のイギリスやアメリカの広告界における定量的な消費者調査の偏重に対する反省として浮かびあってきた、対広告主サービス組織の新しい編成原理であり、一口で言えば、これまでのマーケティングとクリエイティブの統合によるより効果的な広告制作・展開を目指そうとするものなのです。

 このAP制の下での根幹的な要素が「コンシューマー・インサイト(消費者についての洞察)」なのです。これは、一口で言えば消費者の本音を質的には把握し、それを広告クリエイティブに生かそう(的確に投影させよう)とするものです。もしもこれが文字どおり達成されれば、広告が真にその機能を発揮できるものとなることが期待されます。その意味では、今後私たちは注意深く、そして根気良くその展開を注視していく必要性があるでしょう。

 しかし、もっと重要なことは、そうした新しい動きが真に広告の機能を発揮させることにつながるものであるのかどうかを、私たちは冷静に見極めることだと思われます。それが単なる広告業界での言葉遊びや看板の塗り替えに終わってしまって、消費者にとって真に役立つ広告の機能実現につながるものではなかったとき、新しい時代の広告は危機的状況に陥ることが予想されるからなのです。

 こうしたきわめて実現性が高い(と思われる)事態に対して、広告、マーケティング、そして企業経営の新時代における根本理念の有り様を、もう一度根底から真摯に考えてみることが必要な時期に差し掛かっているように感じるのは、私だけでしょうか?私は、その答えが「May I help you?(何かあなたのお役に立つことはありませんか?)」という問いかけ中にあるのではないかと思っています。そして、今広告関係者に求められているものは、消費者に対する真の意味での「思いやり(愛情)とまごころ(誠実さ)」ではないかと考えている今日この頃なのです。ぜひ皆さまのご教示をお願い申し上げる次第です。
(以 上)

審査結果 
テレビ広告
●口腔用薬
指摘箇所:

〈音 声〉
効き目が違うんです

見  解:

〈注 意〉
ノズルが長いことを表現するのは問題ありませんが「効き目が違う」とまで表現すると些か他社誹謗ではないでしょうか?ご注意下さい。

〔基準9〕
●総合感冒薬
指摘箇所: 〈音声、文字〉
より速く溶けるイブプロフェン配合。よく効きます。
「はやく治そう。」
見  解: 〈注 意〉
現段階では「より速く」という表現は自社品との比較の範囲で行っていただき、当社従来品比などと明示してくださるようお願いします。また「速く溶けるから速く効く」とは言っていませんが、広告全体から暗示しているのではないでしょうか?ご注意ください。
基準9、3
●口腔用薬
指摘箇所: 〈画 面〉
「ひんやり冷たい」
サーモグラフィ画像
見  解: 〈注 意〉
実際に冷えた服用感があるのでしょうがいささかオーバーではないでしょうか?ご注意ください。
〔基準3(6)(7)〕
指摘箇所: 〈文 字〉
ブルーハワイ味 青ゆず味
見  解: 〈注 意〉
販売名は「アイストローチH」などであり「○○味」と強調することは愛称使用となり、医薬品においては認められておりません。
〔基準1〕
  〈注 意〉
また、これらは服用感を向上させるためであり、強調して表現されますと食品的であり乱用を助長する恐れもあります。ご注意ください。
〔基準4、14〕
●鎮咳去痰剤
指摘箇所: 〈音 声〉
強く効いて早く治るってうれしいけどちょっと怖い
見  解: 〈注 意〉
具体的な製品名をあげてはいませんが「怖い」とまで表現するのは、いささか誹謗的ではないでしょうか?
〔基準9〕
指摘箇所: 〈音 声〉
痛くならないように飲む
苦しくならないように飲む
見  解: 〈注 意〉
医薬品は症状があって、承認を受けた効能・効果を期待して服用するものであり「○○ならないように飲む」との表現はいささか予防的ではないでしょうか?
〔基準3(1)〕
●整腸薬
指摘箇所: 〈文 字〉
あれっ太った?
そのポッコリおなか
ポッコリおなかに・・
見  解: 〈注 意〉
下腹部が出ている状況を強調することでダイエットに効果があるかのような誤解・誤用があるのではないでしょうか?ご注意ください。
〔基準3(1)〕
●止寫薬
指摘箇所: 〈音声・文字〉
おなかのお守り
見  解: 〈注 意〉
製品特性からこの表現は理解はできますが「お守り」というのは常備薬という意でもあり、乱用を助長するのではないでしょうか?ご注意ください。
〔基準4〕
●解熱・鎮痛剤
指摘箇所: 〈音 声〉
いつでも飲める頭痛薬
〈文 字〉
AnyTime
見  解: 〈注 意〉
「いつでも」というのはいささか承認を受けた用法用量を誤解させる表現ではないでしょうか?ご注意ください。
〔基準3(5)、4〕
●痔疾用薬
指摘箇所: 〈音 声〉
喚起音がないこと
見  解: 〈注 意〉
当該薬効は使用上の注意を喚起音とともに表現する事となっています。ご注意ください。
〔基準8〕
●皮膚用薬
指摘箇所: 〈音 声〉
すばやく鎮めて
「ふー、早く効いた」
〈音声・文字〉
1秒でも早く
見  解: 〈注 意〉
当該薬効は「速効性表現」が可能ですが2回以上表現するなど、強調表現はできません。ご注意ください。
〔基準3(8)〕
●外用消炎鎮痛剤薬
指摘箇所: 〈音 声〉
むようにほぐしてくれるから
見  解: 〈注 意〉
「もむように」というのはいささか効能を超えた医療用具的表現ではないでしょうか?
〔基準3(1)〕
●外用消炎鎮痛剤薬
指摘箇所: 〈音 声〉
次世代プラスター
見  解: 〈注 意〉
当該製品が次世代ならば何が前世代なのか、他社誹謗的でもあり不適切な表現ではないでしょうか?ご注意ください。
〔基準3(1)、9〕
●皮膚活療薬
指摘箇所: 〈画 面〉
症状の対応領域
軽度→重度
見  解: 〈注 意〉
尿素よりも優れている旨の表現ですが、複数の症状を軽度から重度に分類して広くカバーするといった内容は、些か承認効能を超え、誤解を招く表現ではないでしょうか?また、自社品としておられますが尿素製剤ではない旨を強調しており、他社誹謗的ではないでしょうか?ご注意ください。
〔基準3(1)、9〕
新聞・雑誌広告
●緩下剤
指摘箇所: 〈文 字〉
刺激性下剤は腹痛を伴いがち。
習慣化して効かなく 腸が固く黒くなり体にあまりよくない。
  〈注 意〉
一般論としてそうであったとしても、他社誹謗にあたります。ご注意ください。
〔基準9〕
指摘箇所: 今話題の
見  解: 〈注 意〉
禁句です。ご注意ください。
〔基準3(7)〕
  〈注 意〉
承認効能通りに表現するという原則に則ると「発毛促進力を送り込む」とすべきではないでしょうか?
〔基準3(1)〕

[話 題]第180回広告審査会では、以上のほか次の品目が話題になりましたので、ご参考までにご紹介しておきます。

テレビ広告
●滋養強壮保健薬
指摘箇所: <画 面>
壁などを壊していく様子
見  解: <話 題>
滋養強壮剤とはいえ表現がエスカレートするのでは?と話題になりました。
〔基準3(7)〕
●鼻炎用内服薬
指摘箇所: <文 字>
用法用量などの文字サイズ
見  解: <話 題>
効能などは読めるサイズ・秒数で表現するべきでは?と話題になりました。
〔第2広告者の責務〕
新聞広告
●企業広告
指摘箇所: <文 字>
飲み過ぎ食べ過ぎだから仕方がない、市販薬で大丈夫、なんて自分で判断していませんか。
見  解: <話 題>
広告の3要件を満たしていませんので医療用医薬品の広告とは言えませんが、いささか一般薬否定論につながるのでは?と話題になりました。
〔基準9〕


OTC医薬品TV CM VTR収録リスト
対象期間:2004年9月24日~2004年11月22日

広告主
商品名
秒数
大正製薬 ZENA F-Ⅱα 30
佐藤製薬 ユンケル黄帝液 15
エスエス製薬 エスカップ 15
大正製薬 リポビタンD 30
大正製薬 ALFE 30
大鵬薬品工業 チオビタドリンク(ヘルシー) 15
中外製薬 グロンサンG 30
エスエス製薬 エスタックイブ(エスタックイブエース) 15
金冠堂 金柑のど飴スティック 30
グラクソ スミスクライン コンタック600 ST 15
グラクソ スミスクライン コンタックせき止め ST 15
小林製薬 のどぬーるスプレー 15
小林製薬 カゼピタンぬる 15
佐藤製薬 ストナアイビージェル(ジェルサイナスS) 15
三共 新ルルAゴールド 30
ゼファーマ プレコール持続性カプセル 30
ゼファーマ カコナール2{2本入・4本入} 15
ゼファーマ カコナールゴールドUP錠 15
全薬工業 ジキニン{顆粒エース・錠エースIP} 15
大正製薬 パブロンSゴールド{微粒・-} 30
大正製薬 ヴイックスメディケイテッドドロップ 15
日本臓器製薬 アイストローチ{G・Z} 15
日本臓器製薬 アイストローチ{G・A・H} 15
ファイザー アネトンi総合感冒錠 15
龍角散 龍角散 15
龍角散 龍角散 15
ロート製薬 レスパ チュアブル錠(のどドロップ) 15
太田胃散 太田胃散{分包・缶入り} 30
太田胃散 太田胃散A 錠剤 30
興和新薬 液キャベコーワS 15
小林製薬 ガスピタン 15
三共 新三共胃腸薬 細粒 15
ゼファーマ ガスター10 15
ゼファーマ ガスター10 15
大幸薬品 正露丸(少量サイズ) 30
大正製薬 大正漢方胃腸薬{微粒・錠剤} 30
ジョンソン&ジョンソン タイレノールA 15
ロート製薬 新VロートEX 15
小林製薬 アイボン トローリ目薬 15
大正製薬 コーラックファイバー 30
大正製薬 プリザエース注入軟膏 30
武田薬品 ボラギノールA注入軟膏 15
武田薬品 ボラギノールA坐剤 15
武田薬品 ボラギノールA注入軟膏 15
興和新薬 ケラチナミン{20%尿素配合クリーム・乳状液20} 15
小林製薬 ラナケインクリーム 15
小林製薬 ニューアンメルツ ヨコヨコA 15
佐藤製薬 サロメチール 15
祐徳薬品工業 パスタイムFX 15
祐徳薬品工業 パスタイムFX 15
ロート製薬 メンソレータムADクリーム 15
資生堂 フェルゼアHA20 15
資生堂 フェルゼアDXローション 15
ライオン 新メディナースHPクリーム 60
小林製薬 漢方ナイトミン 30
第一製薬 NFカロヤンガッシュ 15
第一製薬 NFカロヤンガッシュ 15
救心製薬 救心(カプセル・内服液) 15
救心製薬 救心(カプセル・内服液) 15
救心製薬 救心製薬 15
養命酒製造 養命酒 30
イオンウエルシアストアーズ 超トククーポンフェア~9/30 30
イオンウエルシアストアーズ 超トククーポンフェア~11/30 30
アダプトゲン製薬 アダプトゲン製薬 15
キッセイ薬品工業 キッセイ薬品 60
小野薬品 小野薬品工業 30
沢井製薬 沢井製薬 90
ゼファーマ ゼファーマ 15
ゼファーマ ゼファーマ 15
藤沢薬品 2005年4月1日山之内製薬と合併しアステラス製薬 30
エスエス製薬 新エスタック滋養液 15

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